東京・墨田区の最北端。ここにたった一人で医療用・一般用のはさみを手作りする職人がいます。こうした工房は珍しく、都内でも数十件ほどしかありません。石田明雄さんが営む「石宏製作所」は、広島県出身であった先代が1970年に作ったはさみ工房です。創業当時から、そして石田さんが引き継いた今でも、医療用はさみをひたむきに作り続けています。
医療用のはさみは、血管用、口の中用、へその緒用、子供の手術用まで、用途に応じ数えきれないほどの種類がありますが、その全てをひとつひとつ手作業で製造しています。
作る工程を大まかに説明すると、元になる素材を「加工」「熱処理」「研磨」「組立・調整」「外観・調子」の順番を経て、ようやく一丁が完成します。構造はシンプルなはさみですが、これだけの工程をほとんど手作業で行うため、ひと月で作れるのは200~300丁程度しかありません。
医療用の熱処理が可能なSUS420J2というステンレスを使い、1030度で2時間半かけて熱処理した後、180度で3時間半じっくり低い温度で焼戻しをすることで、固い上になおかつ粘りのある強いはさみになります。
石宏製作所が大切にしていることは、切れ味よりもかみ合わせのスムーズさ。はさみが切れる仕組みは、かみ合わせの良し悪しによって決まります。真っ直ぐに見えるはさみも、実は少しふっくらと膨らみ尚且つひねりが加えられているのが切れ味の秘密で、この加工ができるまでには、試行錯誤の連続だったそうです。
石田さんのほとんどの技術は、実は先代から受け継いだものではありません。石田さんがこの工房に入ってすぐに先代は他界され、完全に技術を受け継ぐことができず、廃業の危機を迎えてしまいます。しかし、そんな状況を見かね心配してくれた同業者の諸先輩たちから技術を徹底的に叩き込まれ、はさみづくりの全行程を学ぶことができたと言います。
その技術を用いて一般向けに作ったオリジナル商品「はさみ」が2011年に、さらに2013年に「無垢鋏(MUKU)シリーズ」、2016年「職人が大切な人に贈ったはさみ」がすみだモダンを受賞。2012年には、東京スカイツリー開業のテープカットに「裁ち鋏」が使われるなど、高い評価を受け続けています。そして、今もなお日々使いやすいはさみの研究を続けられています。
すみだモダン受賞の一般向けのはさみにも、医療用と同様の材質と繊細な技術を用いることで、高硬度・高強度の耐久性を実現しました。また、切れ味に優れており刃同士が吸い付くような切り心地の良さは、切ること自体が楽しい体験にしてくれます。
14丸(反)は、先端が丸いため、切る対象物を傷つける心配がありません。革小物など皮革製品の制作に適しています。
シリーズラインナップ | 価格 |
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はさみシリーズ 裁ち鋏 | 12,000円 |
はさみシリーズ 糸切り鋏(直) | 5,800円 |
はさみシリーズ 糸切り鋏(反) | 6,000円 |
はさみシリーズ 携帯用鋏(直) | 6,200円 |
はさみシリーズ 携帯用鋏(反) | 6,400円 |
はさみシリーズ 14トンガリ(直) | 5,000円 |
はさみシリーズ 14丸(反) | 5,200円 |
はさみシリーズ 14丸(刃なし) | 5,000円 |
複数商品ご注文例 | 同梱発送 |
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はさみ(墨田区)+うなぎの寝床のもんぺ(福岡) | × |
はさみ(墨田区)+てのひらトング(墨田区)+うなぎの寝床のもんぺ(福岡) | × |
はさみ(墨田区)+てのひらトング(墨田区) | ○ |
はさみ(墨田区)2本 | ○ |
うなぎの寝床のもんぺ(福岡)2本 | ○ |