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いい本との出会い

のしごと

はじまりは白い皿

昔から、本をほとんど読まない。

社会人になって、最初に勤めた会社は電車通勤だったので、その時にふと小説を読み始め、そこからはまってしまって毎日の日課になりました。のめりこみ過ぎて昼休みや、家に帰ってからも読んでいることもあったくらい。

でも、転職して電車通勤とは縁がなくなってもう10年。この間ほとんど本を読む機会はありませんでした。取材などで出張する際の飛行機や電車の中で読むことはあっても、読み切れなかったら続きを読むのは次の出張。その時には話の内容を忘れていて、もう一度最初から読み返していると一冊がなかなか読み終わらない。

こんな風に本をあまり読まないことを、人に伝えるとよく驚かれます。それは、このサイトはもちろん、文章を毎日書いていたり、取材して記事にすることを仕事としているからにほかならない。でも、本を読まない代わりに、ウェブの記事はたくさん読む。

自分が心打たれる記事の多くは、プロのライターや記者が書いた記事ではなく、素人のブログに近いようなものに魅力を感じることが多い。あまり本を読まない自分が、素人の方が書いた文章は感情移入してすらすらと読める。この違いは一体なんなんだろうとずっと考えていた時期がありました。

はっきりとした正解はまだ分かりませんが、きっと熱量や空気感なんじゃないかという気がしています。プロの方が決して熱量がないというわけではないですが、かっこいい言葉や抽象的な言い回しではなく、泥臭くてもストレートに伝わる文章だからとてもリアルで心に突き刺さり、情景がイメージしやすく結果伝わる文章になるんじゃないかなと思います。

本をあまり読まない。最初にそう言いましたが、ここ最近はとてもたくさんの本を読むようになりました。ウェブの記事がやっぱり読むのも書くのも好きだけど、本もおもしろい。ウェブには載っていないことが本にはたくさんある。読みやすい読みにくいも書き手によってバラバラなのもおもしろいし、紙の種類や装丁によってもぜんぜん印象が変わる。

たまたま手に取った本が人生を変えてくれることだってある。いい本との出会いは、人との出会いにも似ているような気がします。

(2019.02.26)

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