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作るのも着るのも気持ちの良い服

デイアンデイ「のしごと」
day un day

普段と変わらない、いつもの日常。
普段とは違った、非日常。

当たり前の「日常」と、そうじゃない「非日常」を繰り返しながら、日々の暮らしはできています。

この二つは相反するものでありながらも、どちらも私たちの生活に密接に関わっていて、日常と非日常を無意識に行ったり来たりを繰り返し、さまざまなことが巡り合って日々はできています。

day un day(デイアンデイ)というブランドは、そんな二つの日々の暮らしを込めて、着ると楽しくなる洋服を作っています。

長野県松本市

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のしごとも縁深い墨田区を拠点に活動していたつくり手さんが、長野県松本市に移住したと聞いて、この町に取材へ訪れました。

松本は、東京から車で3時間半。しかし、三連休ともなると高速道路は大渋滞。結局6時間かけて到着した頃には、すっかりあたりは暗くなっていました(写真は翌朝に撮影したもの)。

ずいぶん田舎を想像して訪れた松本の市内は、とても栄えていて夜でも思った以上に明るくてびっくり。

そんな賑わう繁華街から少し街の一角の古民家で、我々の到着を待っていてくれたのは、day un day(デイアンデイ)の中井 亜沙子さん。

day un day

兵庫県尼崎市出身の中井さんは、大阪でアパレルの企画営業として働いていましたが、その会社を退職後、28歳で東京へ上京するタイミングで『day un day』をスタート。

上京後、最初は世田谷で活動したのち、墨田区にある自分たちで改修した小さな長屋をアトリエにして活動をしていました。そして、2018年6月に今度はこの松本へ拠点を移しました。

点々と拠点を変えながら、ものづくりを続けているday un day。5年間のブランドの歩みを伺ってみます。

自分で洋服を作りたい

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中井さんは、家庭科の大学に通っていましたが、実際に手を動かし洋服を作る機会がなかったため、大学卒業後に大阪の専門学校に通い直し、そこで洋服づくりを学んでいきます。そして、卒業後に選んだ会社は神戸にあるアパレルの企業でした。

「卒業後に専門学校に通い直したので、周りより少し長く勉強していました。卒業後、企画営業として三年ほど働きましたが、パソコンでの作業がほとんどで、専門学校でせっかく習ったことが活かせず、自分でやるかと東京に来てday un dayを始めました」

上京後、中井さんがまず最初に取った行動は、ギャラリーを先に抑えてしまうこと。展示をやる日程を決めてしまい、やらない選択肢をなくそうと自分を追い込んでいきました。

「東京に来てすぐはOEMの営業をやろうとしてたんですけど、先にギャラリーを抑えて展示をすると決めて作り始めました。じゃないとやらないと思って。この日からやりますみたいに宣言すればできるだろうなと思ってやりました」

こうして東京の展示会からスタートしたday un day。中井さんは考えるよりも、まずはやってみるタイプ。行動を起こしてみることで、失敗や経験を積んできました。だからこそ、これまでの就職や引っ越しなど節目となる場面でも、ほとんど決断に迷うことはなかったと言います。

しかし、行動を優先するあまり東京に来てからの4年ほどは、週7日でバイトをする多忙な時期を極めながらも、ブランドを丁寧に少しづつ育ててきました。

非効率から生まれる気持ちの良い服

day un day

day un dayってどんなブランドですか?

「もともと、絵を描いたりツギハギをして服を作ってたんです。工作をするような気持ちで洋服を作ったら楽しいだろうなと思って始めたのが最初でした」

「でも、作品的なものよりもちゃんと着れるような素材を使った方が自分も好きなことが分かり、『気持ちの良い服』をコンセプトにして、ガーゼみたいな肌触りの良い生地にこだわった服作りを今はしています」

ブランド名には、どういう意味が込められていますか?

「歩いてるときに、デイアンデイってリズムが良くて付けたんですが、デイとアンデイという二つの意味があって、デイは『日常』でアンデイは『非日常』。それの繰り返しで日々ができているということを表現しています」

「当初は、相反するものや相対するものが好きだったんですけど、それがなかなかうまいことまとめられなくて、もっと身近な自分の周りのものが居心地よかったらいいなと思って、気持ちの良い服を考えて作っています」

自分の周りのもの、つまり着る服が心地良くて、それを着ていることで暮らしやすくなる、着ると楽しくなってもらえるように、着心地を考えて素材にこだわった洋服づくりをしています。

day un day

着心地にこだわった洋服の素材は、綿100%のものがほとんど。しかし、優しい風合いの素材とは対照的に、生地に描かれた模様はちょっと奇抜で印象的。

この柄を生み出しているのは中井さん自身。自分でドローイングすることもあれば、パッチワークや刺繍を施すこともあり、全ては一点モノ。この世に同じものはありません。

生地自体は仕入れているものの、染めや模様、縫製などを全て一人でこなしていて、優しい風合いとシワ感が特徴です。着心地にこだわった生地は、元はパリッとしている素材を一度洗濯したり、お湯で柔らかくすることで独特のシワと柔らかさを生み出しているのも、彼女が試行錯誤してたどり着いた手法。

しかし、手書きで描かれた洋服たちを初めて見た時、奇抜な模様と柄は、着る人を選んでしまうように感じました。

ですが、中井さんに実際に着てもらうと、奇抜だった模様はすっと馴染み、どことなく温かみのある優しい服へと変わる。それでいて他にない模様が、他の洋服と差別化をし、どこにもない特別な一着となる。

「着やすい形であまりストレスのないものにはしています。やっぱり柄が柄なので、形もキレッキレッだと着にくいので、ベーシックな形にして、普通の形ではあるけど、この柄だから普通にならないギャップがいいなって。生地はガーゼなので、肌触りや着心地がいいので、着てみるとやっぱり着やすいねって言ってもらえたら嬉しいですね」

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生地に直接柄を描く今のやり方は、非常に手間がかかります。さらに裁断、縫製までを全て一人でこなすやり方は、一着を作るのに最低でも三日はかかると言います。

「効率は良くはないですね。でも、それがいいなって思って。今は下書きもなしに直接描いているので、他の人には真似されないけど私も二度と描けないです。染め方もいろいろあるので、今後は天然素材を使って他の染め方できないかなと考えてます」

「目指すところは一点もの。やっぱり同じじゃないほうがおもしろいし、一人でやることは絶対しも同じものを作らないといけないわけじゃない。会社で働いてた時の大量に作って、大量に捌けてすぐにセールになってしまう濁流みたいな感覚が嫌で一人でやり始めたので、それをやったら意味がないし、そこが原点的なところで、だから会社を辞めました」

生地に直接手書きで描くというアイデアは、なにかきっかけがあって思いついたのでしょうか?

「落書きが好きだったのもあるですが、シルクスクリーンでそれまでやってたんです。小さな版を使って繰り返し描いて大柄を作っていたんですけど、リピートする時間が果てしなさすぎたのと、描いた方が早いんじゃないかって」

「それと、プリント地で作るとコストがかかりすぎてできなかったんです。その当時生きるのに必死で、お金がない中でできるのってなんやろって思った時に、同じ柄を作るんじゃなくて全部違うものの方がいいし、自分が頑張ればできるからやろうと思って描きはじめたのがきっかけです」

染めには、繊維の中に入っていき繊維自体が染まる染料と、繊維の中には入らず繊維の上に乗る顔料があります。中井さんが使っているのは顔料なので、使っていくうちに薄くなるのではなく、古着のように少しづつ剥げていき、それが味へと変わるので着ていくうちに優しい生地の風合いに馴染んでいきます。

東京を離れる

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到着した時間が遅くなったので、実際に絵を描く様子は翌日見学させてもらうことになり、改めてアトリエを訪れました。

すると、前日は暗くて気づかなかった入り口にこんな文字が書かれていました。

こんにちは
小さいようふく屋をしています。
ここはお店ではありませんが、
こつこつやっていけたらとおもいます。

このメッセージは、引っ越してきて殺風景だった入り口にすぐに書き込んだものだそう。この新しい場所でやっていくんだという、彼女の決意表明のようにも感じます。

住み慣れた東京を離れ、縁もゆかりもない松本という場所を選んだのはなぜでしょうか?

「墨田区で住んでいた長屋の隣の家が工事が始まり、古くて揺れることも増えたので違うところに行こうと思ったんです。場所はあんまり理由はなくて、長野だと東京も近くて行き来がしやすいなと思って。山で暮らすことに興味があったので、最初は山の中の家を探していました」

「でも、そもそも車を持ってないし危ないから、初めに街の方で探して慣れたらまた探せばいいかなと思って、問い合わせた不動産屋さんがここを紹介してくれました。いろいろ条件が合ったので行ってみようと見切り発車で来たので、今は山暮らしのかけらもないんですけど(笑)」

今日も機嫌良く

day un day

アトリエのある二階に上がってみると、既に部屋いっぱいに敷かれたビニールシートの上に生地が広げられ、描く準備が整っている。

生地の上に乗った中井さんは、ほんの少しだけ何を描くかを考えたのち、その後はほとんど躊躇なくダイナミックに描いていく。下書きもしない。

今日描いている柄は、どういった発想で何をイメージしているのでしょうか?

「なにって言うモチーフはホントになくて。その時に聞いてる音楽の歌詞や欲しい器や絶対作られない変な形の器なんかがそのまま出ます」

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洋服の話をしている中井さんは、本当に楽しそうに話しをする。

服を作りたい、そう思ったのはいつからなんだろう。

「中学校です。20歳くらいの時にタイムカプセルみたいに自分が昔書いた手紙が届くやつがあって、自分に向けて『服のデザイナーになってますか?』って書いてあって、この頃から思ってたんやなって」

初めて自分が作った服が売れた時は、どうでしたか?

「嬉しかったですね。2014年に始めて、その冬の大阪のイベントで、はじめて売れたのはコートでした。その時は、生地に描くということもまだやってなかったし、染めたりもしてなかったんですけど、その形は今でも改良しながらずっと使ってます」

day un dayの服は、どういう方に着てもらいたいですか?

「作る過程を楽しんでいるので、自分が作りたいものを勝手に作って共感してくれる人にだけ共感してもらえれば良くて、誰でもいいんです。『気持ちの良い服』って着心地だけのことじゃなくて、作っている私もストレスがないんです。だから自分で売っているのもその方が楽だからで、気持ちの負担がない道をやってきた結果なんです。作るのはなんぼでも労力かけますが、作っててしんどくならない服がデイデイなんです」

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自分で作って自分で売る。こうやって中井さんは自分で大切に作った服を販売してきましたが、そんなday un dayの想いや大切にしている部分に共感し、少しずつだが取り扱ってくれるお店も増えてきています。

永く活動を続けていくために、決して慌てずマイペースに。着心地だけじゃなくて自分自身がストレスを感じずに洋服づくり楽しむことを大切にし、地道だけど着々と育ててきたブランド。これから挑戦していく場所に選んだのは、長野県松本。今後はどんな道を歩んでいく予定なんだろう。

「近い目標は布を作ることです。染料などで描くことはしてますが、柄自体を織柄を機屋さんに作ってもらおうと思っていて、今後は生地の販売もしていきたいです。あとは、委託先を増やすことですね。あんまり大きな豊富じゃないですけど(笑)」

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(2019.01.21)

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