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兵庫県最北端のゲストハウス

本と寝床、ひととまるのしごと

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移住をしてやりたいことがある人もいれば、漠然と地方で暮らしたいという人もいる。移住する理由は人それぞれですが、移住をする上で考えなくてはいけないことの一つが、何を仕事にするかではないでしょうか。

今回お話を伺うのは、地方でゲストハウスの仕事を始めたご夫婦。

たまたまご縁あって移住することになった小さな港町で、今では世界中の人を迎え入れるゲストハウスを経営しているのはなぜだろう。どうしてこの町にやってきて、いかにして一から仕事を生み出すことができたのか、立ち上げから現在に至るまでのことを聞かせてもらいました。

地方に住んで自分で仕事を生み出したい、そんな方のヒントが詰まっているかもしれません。

兵庫県豊岡市竹野町。ここは兵庫県最北端の地、日本海のすぐそばにある小さな港町です。

透明度の高い海には、海水浴で訪れる方も多く夏はたくさんのお客さんで賑わいますが、それは1年のうちのほんの1か月ほど。雨が多く冬は雪も積もる。厳しい環境に加え、交通のアクセスも良いわけではないので、大半の時期は人通りもまばらだ。

夏のイメージしかない人からすれば、この町の普段の様子はどちらかと言えば閑散とした印象を受けるかもしれません。でも、そんな時期こそがここで暮らす人にとっては当たり前の日常。何年も変わらない風景です。

ハイシーズンを迎える少し前にこの町を訪れました。

地域の玄関口

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海水浴が始まると車を停めるのも一苦労なほど浜の周辺は混雑するが、それ以外の時期にこの町を訪れる人は少ない。浜辺の近くに車を停めて1分ほど歩いていくと、周りの建物となじみながら佇む新しいお店が見えてくる。

なんのお店だろう?と、不思議そうに中を覗き込む人の姿がちらほらと見えるが、ここはこの地域に初めてできた、ゲストハウス「GUESTHOUSE & BAR ひととまる」。

2階は、世界中からやってくるゲストがゆっくり休める宿泊施設として、1階は宿泊した方と地域の方が交流できるバーとして、この地域の新たな玄関口を目指して、2017年4月29日にオープンしました。

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ひととまるの建物は、以前は民宿と喫茶、スナックを営んでいましたが、長らく空き家となっていた建物を居ぬきで借り、自分たちでリノベーションを行ってゲストハウスとして営業を再開しました。

建物の改修には、地域の方々はもちろん、古い建物やゲストハウスに興味がある人にも協力をしてもらい、30名ほどの方と一緒に作り上げました。中には何週間も滞在し、寝食を共にしながら作業を手伝ってくれた方もいて、そんな方たちとはオープンしてから2年以上が経った今でも交流が続いているそうです。

みんなの力で作り上げたひととまるは、若い人がどんどん減っていくこの地域にとって期待の大きなものだったのかもしれません。

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建物自体は古いものですが、清潔感が保たれたゲストルームと、ところどころに垣間見える手作り感には、どこか人の温もりが感じられ、とても大切に管理・運営をしていることが伝わってくる。

ホテルでも民宿でもないこうしたゲストハウスには、最近は少なくなってしまった人の繋がりのようなものがあるように思いますが、そもそも民宿とゲストハウスの違いは曖昧です。

敢えて特徴を挙げるとすると、民宿は食事が付いていたり、浴衣やタオルと言ったアメニティがあるパッケージ化されたもの。身一つで訪れることができる。

一方で、ゲストハウスには、アメニティの類はほとんど用意されていないか有料となる分、価格が抑えられている。さらに、宿泊者同士が交流できる共有スペースがあることがゲストハウスの特徴とも言え、ここでは1階のバーが共有スペースにあたります。そして、ゲスト同士やゲストと地元の人を繋げる仲介役を担うのがオーナーで、ゲストハウスの最大の魅力はこのオーナーにかかってるようにも思います。

実際に泊まってみると、隣の部屋の音が聞こえたり、トイレやお風呂は共有。ホテルに慣れている方は驚くかもしれません。でも、ゲストハウスにはそういった知り合いの家に泊まりに来たような雰囲気であったり、宿泊者同士が交流しやすい距離感があり、それを好まれる方も増えています。

本と寝床、ひととまる

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2017年にスタートした「GUESTHOUSE & BAR ひととまる」は、約2年の営業から学んだ経験をもとにバーの営業を辞めることを決意し、約1か月ほどかけて大幅なリニューアルを行いました。そして、2019年5月にお店の名前を「本と寝床、ひととまる」に変え、再び新たなスタートを切りました。

地域の方々と一緒に作り上げたひととまる。思い出も愛着もあるこの建物に手を加えることには、ためらいも大きかった。しかし、それでもこの地でできることの可能性をお店として体力のあるうちに追求したかった、とオーナーである石丸佳佑さんと、望さんは語ります。

そもそもリニューアルを考え始めたのは、もう半年以上も前の2018年の9月のこと。

リニューアルの大きなポイントは、バーであった1階の大改造。賑やかなバーを辞め、静かにのんびりと過ごしてもらえる本を置いたスペースに変えました。ここは、本とかけて『のほほん』と名付けられています。

のほほんは、本が読めるカフェでもなければ図書館でもない。ましてや本自体を売ることもしていません。本を売らない本屋さんで経営は成り立つのかと心配になってしまうが、聞けばゲストハウスとしての経営は決して厳しいわけではなく、むしろ順調な方だった。では、なぜわずか2年で大きなリニューアルに踏み切ったのだろうか。

泊まった人にまずは満足してもらいたい

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雨が多いうえに冬は雪も降るこの地域独特の天候と、観光地やお店が点々としていることが、ゲストを迎え入れる上で課題だと石丸さんたちは感じていました。

天候が悪ければ十分に観光を楽しんでもらうこともできないし、広大なこの地域を巡るには車がなければ移動もままならない。訪れた方にこの地域ならではの楽しみ方を提案できないことが、もどかしかったと言います。

そこで、宿泊者にひととまるだけで楽しんでもらえることができないか、こんな風に考えたことがリニューアルを行うことになったきっかけでした。

「夏はすごく満足度が高いエリアですが、海水浴以外のシーズンはただ泊まるだけになってしまうことが、もったいないなと思っていました。晴れた日ならできることはいろいろありますが、雨が降るとできることがほとんどありません。そこで、ゆっくりとした過ごし方も提案したいなと思い、本を置いてこの中で過ごしてもらうことができたらいいなと」

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壁にずらっと並べられた本はまだまだ数こそ多くありませんが、これらは店主がセレクトして集めた本ではなく、地域と縁のある方から寄贈されたものという、ちょっと変わった形態になっています。

「もともとここは地域の玄関口を目指していましたが、旅行者と地元の人の交流はかなり偶発的なんです。バーに地元の人が誰もいない日もよくあるので、せっかく来てくれた方に地域を少しでも感じてもらえるよう、地元の人に本を寄贈してもらってこんな人がいるんだと想像の世界でも感じてもらいたかったんです。これまでバーが地元の人と外の人を繋ぐ場でしたが、これからその役目を必ずある本が担ってくれればと考えています」

「それに、ぼくらはインドア派で、竹野はどうしても海を使ったアクティビティがメインになってしまうので、それはそれでもちろんいい部分だけど、違った形で竹野の過ごし方を提案できたらいいなと思い、建物の中で過ごせる本を選びました」

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寄贈された本は、いわゆる一般に売られているものがほとんど。では、その本を読むことで地域を感じることができるとは、いったいどういうことなんだろう。それには、のほほんの仕組みが関係しています。

まず、置いてある本の全てがこの地域に縁のある方から『好きな本』というテーマで3冊ずつ寄贈されたものが並ぶ。寄贈された本の最後のページには、寄贈した方によるコメントが書かれたメッセージカードが貼ってあり、どういった方がどういう想いでこの本を選び、寄贈したのかが書かれている。つまり、持ち主だった方の人物像がぼんやりとイメージできるというわけだ。

購入はできないが、その場で無料で読むこともできるし、1冊だけなら借りて帰ることもできる。例えば、宿泊中に最後まで読み終えることができなかった場合、そのまま借りて帰り旅の途中や、自宅に戻った後に読むことができます。

レンタル料は『お気持ち制』で、お店側から価格を明示していません。いくらなら借りたいかを自分で決めて設置してある箱に入れるだけです。

「そもそも寄贈された本なので、お金を介さないコミュニケーションの方がおもしろいし、借りるという行為やここの本にいくらの値段がつくのかやってみたくて、お気持ち制という仕組みにしました。そのかわり返送用封筒と一緒に感想を書く紙を渡して、本と一緒に書いて送り返してもらいます。それをアーカイブしていき、いろんな方に感想を読んでもらえたらと思っています」

本との「出会い」がない

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本という手段を選んだのには、もう一つ理由があります。それは、石丸さんたちがこの町で暮らすようになって困ったことの一つに、お気に入りの本屋さんがなかったことがありました。

「都会なら店主がセレクトしたおもしろい本屋さんがたくさんあります。でも、豊岡には欲しい本が決まっている場合に買える本屋さんはあるけど、目的なく行ってたまたま本と出会うことがないんです」

「だから、ここは本屋さんでもないし、図書館でもないし、ブックカフェでもありません。曖昧な場所がおもしろいかなと思っています。曖昧にしてるから、地元の人にどんなお店なの?と尋ねられることも多いですが、曖昧なままにしてゆっくり時間をかけて理解してもらおうと思っています」

定義が曖昧な上に置かれている本は、今話題の新刊でもなければ、店主のセレクトでもない。地域の方が持ち寄ったいわゆる中古の本で、どんな本が置かれているのかを説明するのも難しい。しかし、お店の定義を敢えて曖昧にしているのも、本も選ぶことをしないのも、それによりどんな化学反応が起こるのかを期待しているのかもしれません。

「種類を尋ねられたら、漫画でも小説でもビジネス本でもなんでもありますと答えます。ただ、補足として『豊岡にゆかりのある人の好きな本というテーマで置いてます』とだけ伝えます。それこそ寄贈する本には制限はありますか?と聞かれますが、好きな本だったらなんでも大丈夫です」

「今後も本の寄贈は受け付けてますし、いつ限界が来るかを楽しみにしています。そうなったら、一部を別の場所に出張展示し、本を宣伝部長に派遣していきたいなと思っています」

物々交換ならぬ宿交換

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貨幣を介さないコミュニケーションを大事にしたひととまるには、『〇〇と寝床』と呼ばれるもう一つおもしろいシステムがあります。簡単に言うと、寝床を提供する代わりとして、宿泊者に何かを提供してもらう交換制度のこと。

例えば、〇〇に入るものが『本』だった場合、寄贈する本を持ってきてくれた方には、1冊ごとに宿泊料が値引きされていくという、ブックステイ制度を利用することができます。宿泊料が値引きされることも魅力ですが、なによりも自分の好きな本がここに並べられ、そして別の誰かに紹介できるというのもワクワクします。

他にも『技術』と交換することもできます。例えば、イラストや写真が撮れる方なら、その技術料を宿泊代に交換することができ、写真やイラストならそのまま展示されることもあるかもしれないので、ひととまるを通して作品を発表したり、多くの人に知ってもらう機会に繋がるかもしれません。

まだまだ始まったばかりの制度で、今後いろいろと変わることもありますが、既にこのシステムを利用し宿泊してくれる方も多いんだそう。

地域おこし協力隊として

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世界中の人を迎えるゲストハウスのオーナーと聞くと、底抜けに明るい人たちをイメージしてしまいそうですが、『自分たちはインドア派』という言葉通り、石丸さんたちはどちらかと言えば落ち着いた雰囲気です。

そもそも石丸さんたちは、埼玉県の出身で豊岡市の出身者ではない。インドアな二人がなぜこの港町にやってきたのか。それは、5年前に遡ります。

東京で行われた移住フェアで豊岡のことを知ったことがきっかけで、その1年後に移住を決意。その頃、この地域の自治会では、所有していた空き家を改修し運営してくれる人を探していました。石丸さんたちは、移住するならゲストハウスをやりたいとの想いもあり、そこでこの建物の運営者の公募に応募し採用が決まりました。

そして、建物の改修工事には1年ほどの期間がかかるため、その間の働き先として地域の力になれればとの気持ちで『地域おこし協力隊』という仕事を選び、地域の仕事を手伝いながらゲストハウスの準備を進めていくことになります。

建物も既に決まっていて、地域おこし協力隊として3年間の収入も保証されている。ゲストハウスを始めるための体制としては、これ以上にないほどの条件でした。

しかし、ここからオープンまでには険しく厳しい道のりが待ち受けていました。

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まず、移住してきて半年後に物件の権利問題が発生し、自治会としても泣く泣く断念せざるを得ない状況になってしまい、移住前に予定していた物件は破談になってしまいました。

「途中からなかなか話が進まなくなり怪しい雰囲気はありました。でも、今となっては破談で良かったです。というのも、建物をどう使うかは全て自治会が主導権も決定権を持っていて、提案をしないと何もできませんでした。仮に開業できたとしても、自分の思うようなゲストハウスにならなかったと思います」

こうして振り出しに戻り、また一から物件探しを始めます。そして、2件目の物件と出会い、契約も無事に終わり工事が始まりました。しかし、結論から言うとこの物件も破談に終わることになってしまいます。

「大家さんの気が変わって、工事を少し始めた段階で中止になったんです。何度も改装内容を説明して印鑑ももらいましたが、いざ家の工事がはじまったら愛おしくなったんだと思います。当時はしょうがないとはならなかったですけど、しょうがないと納得するしかありませんでした」

1件目の物件でスタートが遅れたこともあり、2件目は急ピッチで準備を進めていました。そのため、途中までの工事が無駄になっただけでなく、備品なども既に購入してしまっていて、1件目以上にダメージは大きく気持ちはどんどんとすり減っていきました。協力隊の任期満了も迫っており、埼玉へ戻ることも考えたと言います。

そんな時にようやく巡り合ったのが、今の物件でした。2度も躓いてしまっても諦めなかったのはなぜでしょうか。

「来てしまった意地ですね。でも、2件目がだめだった時は心が折れて、2年目の最後までに見つからなかったら帰ろうと思っていました。見つかってからは大変なことも大変と思わないくらいやれる喜びが大きかったです。だから、ゲストハウスをやりたいと話を聞きに来てくれる方がいますが、物件探しが一番大変だということはお伝えするようにしています」

今の物件は大家さんの理解もあり、ほとんど自由に改修ができる。それもあって今回の大規模なリニューアル工事にも踏み切ることができたそうです。

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こうしてひととまるをオープンできた頃には、協力隊としての任期も残り1年。そこからは並行してゲストハウスの運営が始まり、2018年には協力隊の活動も終え、いよいよ正式にゲストハウスに専念することになります。

協力隊という制度を使ったのは正解だったと思いますか?

「よかったと思います。一番は人間関係が築けたのが大きいです。いきなり移住してきても地域の人と接点は少ないと思うんですけど、市役所の人にいろいろなところへ連れて行ってもらえて、自分の力だけでは知り合えなかったであろう人とも知り合えましたし、地域の方ともすごく協力的な関係ができたと思います」

移住者にとって、この町はどんな場所でしょうか?

「お店を始めてなのか長く住み続けてなのか、何をするにもすごく期待されてしまうことに、ちょっと息苦しさや煩わしさを感じるようになりました。でも、良いことの方が断然多いです。特にオープンの時はいろんな人が手伝ってくれて、精神的にもかなり助けられてすごいありがたかったです」

「あと、この地域は若い人が少ないので、仲間探しみたいなのが難しいと思います。同じようなことをやってる人が他にもいたり、ぼくらを見てお店やってみたいとか、一緒にやりたいって人がもっといたら心強いんですが、次に繋げたいと思った時にそういう方が少ないので、次の展開が難しいのはあります」

もし、豊岡で新しいことを始めたいという方がいれば、そういった方を後押しをしたいという気持ちもあるのでしょうか?

「もちろんそれは最初からすごくあって、一店舗だけできてもおもしろくないので、もっと繋がっていろんなお店ができたらいいなと思っています。町としておもしろい町にしたいです」

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どちらかと言えば控えめな接客の二人。しかし、ひととまるの中を見渡してみると、至るところに手書きのポップが貼られていて、グイグイと説明する必要がないんだということにすぐ気づく。必要な情報を自分のペースで得られるのは、初めて来た人にも安心できる配慮のように感じます。

こうした気配りも、何度も失敗や改善を繰り返してきた結果なのだろう。その中でも運営において特に困ったことを伺ってみます。

「夏の繁忙期の予約サイト経由のお客さんに結構ミスマッチが多いことです。うちのことをあまりにも理解してない人が、安いからという理由で泊まるので、ドミトリーすら知らないなんてことが一年目は結構ありました」

「そういうお客さんが泊まって、他の方に迷惑がかかっちゃうこともあったので、お盆の時期は予約サイトでの予約を止め、自社のホームページのみの受け付けにしたのと、電話予約を止めました。それでも夏は埋まりますし、文章として残り、フィルターの役割にもなるので、こちらもストレスがなくなりました」

地域から宿泊者に寄り添うお店へ

これまで『ゲストハウス』という言葉すら浸透していなかったこの地域に、地域おこし協力隊として飛び込み、2年間お店を続けてきたことで、地域の方にもゲストハウスの理解が少しずつできてきました。

しかし、今回のリニューアルはそんな認識を一度リセットする。バーを無すことでこれまで飲食を楽しみに来てくれていた地元の方をお断りしないといけなくなり、飲食代の売り上げもなくなります。それでも変化を恐れず挑戦するのは、ゲストハウスとしての役割を改めて大切に考えた結果だと言います。

「1階は、本を読みながら静かに過ごして欲しいというのが大前提としてあるので、これまでのバーのお客さんのニーズとは合わなくなると思います。でも、すぐに理解してもらうことは難しいと思うので、ゆっくり丁寧に説明して少しずつそういう場所だと理解してもらうしかないと思っています」

「来てくれる方みんな大事ですが、誰が一番大事かを考えた時にやっぱり泊まった人が満足して帰ってもらえる場所にしないといけないんです。だから、コンセプトをしっかりさせた方が、長期的には良いという結論に今のところは達しています。でも、地元の人との繋がりも大切にしたいので、夜は宿泊者の方向け、昼間はカフェ営業という形で営業スタイルを分けようと思っています」

試行錯誤の繰り返し

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短期間で大幅なリニューアルへと踏み切ったひととまる。実は、今回のリニューアルの他にも日々小さな改善を繰り返していて、訪れるたびに何かしらの新しい発見があるように思います。変わらないことも大切ですが、これからも変わり続ける道を選んだのには、自分たちの環境の変化もありました。

「2年ほどやってきた中で、地域の玄関口みたいなコンセプトはそのままですが、それをどう表現するかを変えました。あとは、子供が生まれたので今まで2人でやってたことを、1人で回さないといけなくなったのも大きいです」

「お店は分かりやすくして収益を出す方がいいのは分かっています。でもその一方で、お金や分かりやすいことだけが正しくないよね、って世界に生きてる自分もいて、この感覚をしっかり考えて表現したいと思っての判断ですが、これが正しいのか迷う部分もあります。でも、文句を言われても自分が決めた方を正しいと信じて割り切ってやるしかないのが、この2年で思ったことです」

日本海のそばにある小さな町、豊岡市竹野町。そんな町の玄関口として、今日ももがきながらゲストハウスを運営している石丸さんたち。

でも、この町と宿はそんな感じを一切感じさせない落ち着いた雰囲気で、訪れる人たちを「のほほん」とした気分にきっとしてくれるはずです。夏の海水浴もいいですが、それ以外の時期にのんびりと二人を訪ねてみてください。

店名 本と寝床、ひととまる
住所 〒669-6201 兵庫県豊岡市竹野町竹野49-6
アクセス JR山陰本線「竹野駅」から徒歩17分
(2019.07.07)

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